ばーちゃんの遺言

ばーちゃんが亡くなった。

享年94歳。

いわゆる大往生です。

2、3年前はいつも口ごたえするくらい元気で、6人もいる子供たちからは

「ババなら死ぬこと忘れてる」

と言われていました(笑)


でもやはり年々衰えて行き、とうとう入院生活を余儀なくされ、医者からはそう長くは無いと言われていました。


3月に帰郷したとき見舞ったのですが「孫来たよ〜」と声をかけると返事は


「あ〜なんか食いてぇ、しょっぱい物食いてぇ」


・・・・・・・。


ばーちゃんは何よりも食べる事が大好き。なので、最初の入院の時にばーちゃんの食欲が無いって聞いたときは本当にもうダメだと思ったくらい。(その時は持ち直して退院までしたんだけど・・・。)

今回、医者から「最後にばーちゃんの好きなようにしてください」と言われて、ばーちゃんのリクエストに家族は出来る限り答えました。

いかのお刺身(大好物)、タラコ、筋子、焼き魚、煮たいも などなど・・・。

病院食はほとんど食べず、好きなものをたくさんたいらげたばーちゃん。

ばーちゃんの病状が悪くなり、医者からあと2、3日といわれた時、ばーちゃんは朦朧ぎみでもやはり食べ物の話を続け、ばーちゃんはリクエストし忘れて食べてない物に気が付きました。


「カボチャ食いてぇなぁ」


それがばーちゃんの最後の言葉になりました・・・。

なんともばーちゃんらしい遺言だ。

最後の気になり事がカボチャだったなんて、ある意味ばーちゃんはシアワセだったと思います。

永い眠りについたばーちゃんのその枕元にはカボチャが置いてありました。その後は棺に納められ、ばーちゃんと一緒に旅立っていきました。


天国でじいちゃんと仲良く食べてね。


長い長い人生、お疲れ様でした。